「自己破産をしたいが家族への影響が心配」という方へ
「月々の返済ができず、どんどん利息が溜まっていく。もう返済できない!」…そんな状態に陥ったときに考え得るのは、債務整理です。
収入も安定せず、返済の見込みがない場合には、最終的に「自己破産」を選択せざるを得なくなるケースもあります。
しかし、いざ「自己破産」となっても、「家族に迷惑がかかるかも」と躊躇してしまう方も多いでしょう。
結論からいうと、自己破産では、原則として家族に直接的な影響がでることはありません。
あなた自身が自己破産を選択することで間接的な影響は考えられますが、思ったよりも悪影響は少ないということがほとんどです。
今回は、自己破産の基礎的な内容から家族への影響、そして家族に内緒で自己破産ができるのかということまで、詳しく解説します。
このコラムの目次
1.自己破産の基本
(1) 自己破産とは
借金を返済するのが苦しくなってきたら、借金問題を解決するための手段として「債務整理」をあげることができます。
債務整理の中でも、借金の減額の度合いが一番大きいのが「自己破産」という方法です。
自己破産とは、借金が支払不能状態に陥った場合に、裁判所に申し立てを行うことで、債務免除を認めてもらう手続きです。
債務免除ということですので、借金はゼロになります。
他の方法では、利息の一部を免除してもらったり、元本を減額してもらったりすることができます。
しかし、一切の債務(税金などを除く)がゼロになるのは自己破産だけです。
もっとも、自己破産を行うと、借金がゼロになるという良いことだけが起きるのではありません。具体的には、あなたが今持っている資産を手放すことになります。
生活に最低限度必要な範囲の財産や預貯金以外は没収され、競売にかけられるなどしてお金に換えられ、債権者への平等分配が行われます。
処分される資産としては、持ち家、車、20万円以上の預貯金、保険の解約返戻金、その他の不動産などが具体例です。
これらの資産を手放し、債権者に分配したあとに、債務者は裁判所から免責の許可をもらうことができます。
(2) 自己破産ができないケース
では、自己破産はどのようなケースでもできるのでしょうか?
自己破産は、債務整理の中でも最後の砦のようなものです。
「どうしても返せない場合に検討しましょう」という類のものであるため、自己破産の申立てが却下される、免責が認められないケースも存在します。
具体的には以下のような場合です。
- 借金の額が少ない
- 過去7年以内に自己破産の経歴がある
- 免責不許可事由がある など
100万円以下の借金の場合は、自己破産が認められないケースもあります。
もちろん、100万円以下は絶対にダメというわけではありませんが、安定した収入がある場合に3年以内に返済できると一般的に考えられる場合は、自己破産の申立て自体が認められないこともあるでしょう。
逆に、収入が安定せず、生活することも厳しいという場合は、借金額が少なくても自己破産が認められるケースもあります。
また、過去7年以内に自己破産の免責許可を受けている場合は、再度の自己破産が禁止されています。最後の自己破産から7年が経過してから再度の申立てを検討してください。
そして、申立てが認められても、免責不許可事由がある場合には、免責が認められない可能性があります。
免責してもらえるか不安がある場合は、専門家である弁護士に相談してみてください。
2.自己破産による家族への影響
では次に、本題の「自己破産の家族への影響」についてご説明します。
(1) 家族に直接的な影響はない
自己破産において、影響がでるのは基本的に申立人本人のみとなります。
例外的に、ご家族の誰かが借金の保証人を担っている場合は、借金の返済を一括で請求されます。
しかし、これ以外に直接的な影響が出ることは通常ありません。
自己破産を行うことで、「家族全員が路頭に迷う」というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、これは誤ったイメージです。
自己破産を行った方の多くは、借金苦から解放され、希望を持って新しい生活をスタートしています。
例えば、以下のような行為に関し、ご家族には全く影響が出ません。
- 家族名義でクレジットカードを作る
- 家族名義でローンを組む
- 海外旅行にいく
- これまで通り会社に勤める
- 子どもが奨学金をもらう
- 就職活動をする
家族がブラックリストにのることや、家族名義の財産が処分されることもないため、安心してください。
(2) 家族への間接的な影響
もっとも、家族に全く影響がないかというとそうとは言い切れません。
一緒に生活している・生計を共にしている以上、間接的な影響は避けられません。
例えば、以下のような影響が出ます。
- 車、家などの財産没収による生活への影響
- 引越し・子どもの転校の可能性
- 破産者本人の名前でローンが組めない
- 破産者は子どもの奨学金の保証人になれない
- 破産者の資格制限により収入が途絶える可能性がある
今お住いの家やお持ちの自動車が、自己破産の申立人名義の所有物である場合は、これらの資産が没収されます。そのため、引っ越さなければいけない、お子さんが小さい場合は引越しに伴い転校しなければいけない、などの影響が出ます。
また、破産者本人名義でローンが組めなくなってしまうため、家のローンが組みたい場合は、配偶者や同居の親族などの名義で組む必要があるでしょう。
そして、子どもが大学に入る際、奨学金を借りる場合は保証人が必要です。自己破産者は保証人にはなれないため、配偶者や祖父母に頼む、機関保証にするなどの選択をする必要があります。
自己破産をすると、弁護士などの士業や生命保険募集員など一定の職業は、資格制限にかかります。そのため、一時的に収入が途絶え、家族の生活に影響がでることが考えられます。
3.家族に内緒で自己破産できる?
最後に、どうしても家族に知られたくない場合に「家族に内緒で自己破産ができるのか」についてご説明します。
「自己破産のことはどうしても秘密にしたい」というお気持ちがある方もいらっしゃるかと思います。
この場合、まずは法律事務所に行って相談してみましょう。内容によっては、内密に自己破産を進めてくれるケースもあります。
例えば、弁護士に依頼すれば、自己破産に関する裁判所からの郵便物などはすべて弁護士事務所宛てに郵送してもらえるため、裁判所からの郵便物でバレるというリスクは避けられます。
もっとも、自己破産の場合は、同居親族の収入証明などが必要になるため、ご家族に対し怪しまれないように書類を準備してもらう必要があります。
また、自己破産後は、原則として現金しか使えなくなってしまう(クレジットカードを作れなくなる)ため、家族に怪しまれてしまう可能性もあるでしょう。
将来的に住宅ローンなどを考えているケースでは、破産者名義でのローンが組めないため、その際にばれてしまう可能性もあります。
家族に内緒で自己破産の手続きを進めることは、内容によっては可能ですが、できる限り家族には先に説明することをオススメします。
4.自己破産に不安があるなら、弁護士にご相談を
自己破産は、借金をゼロにできる一方で、生活に必要な一部を除いた資産を失うため、不安も大きいと思います。
しかし、家族への影響は、思ったより大きくはないと感じられたのではないでしょうか。
自己破産手続きについて、細かい内容などで分からないことがでてきたら、専門家である弁護士に相談すべきです。
熊谷市、深谷市、行田市、羽生市、東松山市、滑川町など、高崎線沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所熊谷支店の弁護士に、是非ともご相談ください。
自己破産以外の選択肢も合わせて、専門家と一緒に借金問題を解決していきましょう。
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