法人破産

会社の借金を返せない場合に弁護士相談をするメリット

会社の借金を返せなくなったとき、経営者の方は倒産を検討するでしょう。

しかし、倒産は思い立ったらいつでもできる!というわけではありません。
特に、「破産」をする場合は様々な条件があり、要件を満たしていないと手続きを行うことができません。

また、要件を満たしていても、会社の経営状況が悪化すると破産できなくなることもあります。

よって、破産を視野に入れている場合は、できるだけ早い時期から検討し、要件を満たした上でタイミングを逃さずに手続きをする必要があります。

今回は、会社の借金を返せなくなった方に向けて、会社破産のための条件と、弁護士に早めに相談するメリットについて詳しく解説します。

1.会社の借金が返せない時の会社破産

会社の借金を返せなくなったとき、破産の2文字がいよいよ現実味を帯びてきます。

破産をすると会社は消滅します。せっかく作った会社ですから、出来るだけ破産は回避したいところですが、明日をも知れぬ自転車操業の中、続く取り立てに対応するのは並大抵の苦労ではありません。

破産をすれば会社はなくなりますが、借金の取り立ては止まり、個人として新たな生活をスタートできます。状況によっては潔い決断が必要なときもあるでしょう。

しかし、会社破産はいつでも、誰でもできるというわけではありません。
会社破産するにはどうしたら良いのでしょうか?

(1) 会社破産のための条件

会社破産の申立をするには一定の条件を満たしている必要があります。

①支払不能か債務超過の状態である

会社破産をするときは「支払不能」か「債務超過」のどちらかの状態であることが求められます。

個人が破産をするときは「支払不能」だけが条件なのに比べ、会社破産は「債務超過」も含まれます。それぞれの違いを解説します。

支払不能

「支払不能」は文字通り支払ができなくなった状態のことで、弁済期が過ぎている借金について一般的かつ継続的に支払いができない状態を指します。

ここで言う一般的とは、残債の全て、または大半を支払えない状態のことです。
継続的と言うのは、現在から将来に渡ってということなので、一時的に資金繰りができない状態は支払い不能には当たりません。

支払い不能かどうかは客観的な状況があって初めて認められます。
また、支払不能と認められるのは弁済期がきた借金だけで、今は大丈夫だけど、弁済期が来ていない借金についてこの先支払えそうもない…という状態では、支払不能には該当しません。

債務超過

債務超過とは、簡単に言えば「赤字」の状態のことです。

赤字かどうか確かめるには会社の「賃借対照表」を見ればわかります。この表の数字が赤字なら会社は債務超過の状態にあります。

債務超過はあくまでも会社の資産の話であり、社長が個人財産を充当すれば借金を返せる、という状態でも、会社として弁済できない状態であれば債務超過に当たります。

②不当・不誠実な破産申立ではない

破産はどうしても支払いができないときの最終手段であり、あらゆる手をつくしても資金調達ができないときに認められます。

よって、もともと倒産を狙って放蕩経営をしていたり、財産隠しをするために計画的に破産をするなど、不当・不誠実な目的があるときは認められません。

会社破産が認められるのは、あくまでもやむを得ない事情があると認められたときのみです。

もっとも、破産に至るまでには追加融資を受けるなど金策に走るのが普通であり、経営が苦しいのに借入を重ねた…ということだけで不当、不誠実と判断されることはありません。

③破産手続き費用を支払える

破産手続きには一定の費用がかかります。
破産手続申立の際には裁判所に予納金を納めることが求められます。会社破産の場合は個人破産に比べて予納金が高額で、負債額が高額になるほど予納金も高くなります。

さいたま地裁の予納金は、負債総額5,000万円未満で70万円、5,000万~1億円未満で100万円、負債額がそれ以上なら予納金はさらに高額になります。

ただし、実際の予納金の金額は裁判所が債権者数などを考慮して決めるので、上記はあくまで目安としてとらえて下さい。

また、一定の条件を満たせば法人でも「少額管財」を利用することも可能です。少額管財が認められれば予納金は20万円~です。

とはいえ、破産手続きに一定の費用がかかることには変わりないので、一文無しになってからでは破産手続きすらできなくなります。
よって、会社破産をするなら会社に僅かでも資金力があるときに踏み切ることが肝心です。

④民事再生等の手続きがとられていない

破産は最終手段であり、民事再生、会社更生、特別清算など会社再建のための手続きが既にとられている場合は、破産手続きを行うことはできません。

破産は債務者、債権者双方にとってダメージが大きいので、再建できるのであればそちらが優先されることになっています。

⑤申立人に破産手続開始を求める権利がある

会社破産は誰でもできる訳ではなく、申立をできる人が限られています。

というのも、会社経営は様々な利害関係があるので、誰でも申立できると、嫌がらせ目的で破産手続きを始めてしまう恐れがあります。

そうしたことを防ぐために、会社破産では申立権者を、債権者、債務者(会社自体ですが、実際に動くのは代表者などです。)、準債務者(会社の取締役、業務執行社員など)、例外的に監督庁などに限定しています。

なお、取締役などの準債務者による破産の申立は「準自己破産(申立)」と呼ばれ、取締役が複数いる場合は、そのうちの誰か1人が賛成すればOKで、その人が単独で申立をすることが可能です。

中には名前だけ貸してもらって知人を取締役にするなど実態がないこともあるので、そうした場合のために取締役1人でも申立ができるようになっています。

(2) 会社破産以外の方法

会社の資金繰りが厳しい時は、会社破産以外に「民事再生」「特別清算」「会社更生」の3つの方法があります。

会社倒産=破産と思いがちですが、実は倒産にはこの3つの制度も含まれます。

  • 民事再生:会社が支払不能、債務超過、支払停止のいずれかの状態になったとき、裁判所の同意の下で会社の再生を図る手続。
  • 特別清算:解散して通常の清算手続を行っている株式会社について、債務超過や清算の遂行に著しく支障をきたす事情がある場合などに、利害関係人の申立により、裁判所の下で清算業務を行なうこと。
  • 会社更生:株式会社のみが利用することができ、債権者数が多く、債権額も大きい大規模な会社が再建することを想定した倒産制度。

2.埼玉県大宮で会社破産をする場合

(1) 会社破産の流れ

実際に会社破産をするときの流れは以下の通りです。

  1. 弁護士に相談する
  2. 破産申立
  3. 破産審尋・破産手続開始決定
  4. 破産管財人の選定
  5. 管財人による調査
  6. 債権者集会
  7. 配当
  8. 破産手続終結

大宮で破産手続きをする場合は、大宮の弁護士に相談するのがおすすめです。
実際に破産手続きをする際には複数回相談する必要があるので、弁護士が近くにいると何かと便利です。

(2) さいたま市大宮区で破産申立をする場所

埼玉県さいたま市大宮区で破産申立をする際は「さいたま地方裁判所」が管轄です。

〒330-0063 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-16-45
第3民事部破産係:048-863-8634

(3) 法人破産の費用

法人破産の費用は以下の予納金+事務手数料です。

【負債総額に対する予納金】

  • 5,000万円未満…70万円
  • 5,000万~1億円未満…100万円
  • 1億~5億円未満…200万円
  • 5億~10億円未満…300万円
  • 10億~50億円未満…400万円
  • 50億~100億円未満…500万円

【事務手数料】

  • 手数料:1,000円(印紙購入が必要)
  • 官報広告費:14,516円
  • 予納郵券:2,390円(100円×5枚、82円×20枚、10円×20枚、2円×20枚、1円×10枚)
  • 債権者宛封筒:92円切手×債権者数

上記の他に弁護士費用も必要です。

法人破産における弁護士費用の相場はおよそ50万円以上です。50万円は高額に思えるかもしれませんが、5000万円未満の負債額であれば予納金70万円+弁護士費用50万円+事務手数料で、総額120万円程度の金額で会社破産の手続きを終えることが可能です。

弁護士費用については分割払いに応じてくれる事務所であれば、当面、予納金と事務手数料があれば手続きに踏み切ることができます。

また、負債額がそれほど多額でない場合、弁護士が代理人になれば少額管財を適用してもらえる可能性もあります。そ
うなれば予納金も20万円~になるので、費用を抑えることができるでしょう。

3.法人破産はとても複雑なので弁護士にご相談を

ここまで見てきた通り、法人破産は非常に複雑な手続きです。倒産するにしても、破産がベストなのかどうか、専門家のアドバイスは必要です。

会社破産をするとしても、手続きには予納金が必要となるので、多少なりとも資金のあるうちに手続きをする必要があります。その意味で、破産を視野にいれたら一刻も早く弁護士に相談することをおすすめします。

埼玉県大宮区、京浜東北線・宇都宮線・高崎線・埼京線・川越線・東武野田線・湘南新宿ライン沿線にお住いの方、会社がある方は、泉総合法律事務所大宮支店にぜひ一度ご相談下さい。

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