自己破産をした後の住宅ローンはいつから組める?
自己破産をすると一定以上の財産を持てなくなるため、持ち家(マイホーム)を失うことが往々にしてあります。
しかし、新しく持ち家を得ることは可能です。借金生活から生活を再建し、持ち家を手に入れようとがんばっている人もいますし、実際に持ち家を買えるだけのお金を稼げた人もいるでしょう。
そこで問題となるのが「住宅ローン」です。何とか頭金を貯めて、毎月のローンの支払いが可能なだけの収入を得ていても、いざ住宅ローンを申し込むと断られてしまうことがあるのです。
「十分な収入があるのになぜ?」と戸惑う人もいるかも知れませんが、その原因は自己破産手続きにあることがほとんどです。
ここでは、自己破産後の住宅ローンについて考えていきます。
このコラムの目次
1.自己破産後にマイホームは買えない?
正確に言えば、自己破産後でもマイホームを買うこと自体は可能です。
しかしマイホームを手に入れるには、ほとんどのケースで住宅ローンを利用するのではないでしょうか?
実は、自己破産をすると、その後一定期間は住宅ローンの審査に通らなくなります。
このため、実質的にマイホームを買うことが難しくなるのです。
では、なぜ住宅ローンの審査に通らなくなるのでしょうか?
これは、自己破産の情報が各金融機関や貸金業者、クレジットカード会社等の間で共有されてしまっているからです。俗に「ブラックリストに載った」という状態がこれにあたります。
自己破産を含む債務整理(ただし過払い金返還請求は除く)を行うと、その情報は「信用情報機関」というところに集められます。
金融機関等はローンを申し込まれた場合、その信用情報機関にある情報を参照します。
そこにもし自己破産を行ったような履歴があると、金融機関は「この人物は返済能力に問題がある」と考えて、ローンの申込みを断るのです。
ローンが使えなければ現金一括払い等の方法で住宅を購入することになるのですが、それができる人はそう多くないでしょう。
以上から、自己破産した後は実質的にマイホームを買えない状態となってしまうのです。
2.自己破産後に住宅ローンを組めるまで
自己破産をしても、一生住宅ローンを利用できなくなるわけではありません。
信用情報機関にある自己破産等の情報は一定期間経過すると削除されます。
では、どのくらいの期間で削除されるのでしょうか?
信用情報機関には、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3つがあります。
CICはクレジットカード会社と信販会社、JICCは信販会社や消費者金融、全国銀行個人信用情報センターは銀行や信用金庫等を主な会員としています。
気になる情報掲載期間ですが、以下のようになっていると考えられています。
- CIC:5年程度
- JICC:5年程度
- 全国銀行個人信用情報センター:10年程度
一般的には、この程度の期間経過すれば住宅ローンを再び利用できるようになります。
しかし、期間さえ経過すれば絶対に大丈夫というわけではありません。
例えば、A銀行の借金を抱えたまま自己破産した場合、10年後に信用情報機関の情報がクリアになったとしてもA銀行の内部には自己破産して借金を回収できなかったという履歴が残っています。
もしこの状態でA銀行の住宅ローンを利用しようとした場合、その履歴に基づいて断られる可能性があるのです。
また、直接A銀行からお金を借りていなくても、A銀行の系列のカードローンを返せなくて自己破産した場合は、A銀行に情報が上がっていることが想定されるので、やはり住宅ローンの審査に落ちることがあります。
こういった場合は他の銀行を選ぶことで解決ができますが、「審査に落ちた」という情報は信用情報機関に半年程度残ると言われています。
その状態で他の銀行に住宅ローンを申し込みに行ったとしても、そこで信用情報機関に照会されると「この人は別の銀行で審査に落ちているから、返済能力に何か問題があるのかもしれない」と思われて、やはり審査に落ちてしまうかもしれないのです。
よって、短期間に複数の金融機関に住宅ローンの審査を依頼するのはおすすめできません。
せっかく10年も待ったのに住宅ローンを利用できないという事態を防ぐために、次の章ではその対策について紹介していきます。
3.自己破産後に住宅ローンを利用する際の対策
自己破産から10年程度経って信用情報がクリアになった後、少しでも住宅ローンの審査に通りやすくするために、以下のことを心がけておきましょう。
(1) 返済を滞納しないようにする
5年経てば基本的にCICやJICCの情報はクリアになりますが、その後に作ったクレジットカードで返済を滞納させると悪い記録が残り、住宅ローンの審査で不利になってしまいます。
一般論ですが、3ヶ月以上の滞納または1~2ヶ月程度の滞納を何度かすると、「この人は返済能力に疑問がある」と判断されて信用情報機関の情報にその事実がインプットされてしまうようです
クレジットカードを含む借金全般の支払いには注意を払わなければなりません。
特に携帯電話の本体料金を分割払いしている人は要注意です。近年これを滞納したために信用情報機関に悪い情報を登録される人が急増しています。
(2) 信用情報機関を自分で確認する
通常は、自己破産から5年または10年経てば信用情報機関から自己破産等の情報は抹消されますが、稀に情報が残ったままになることがあります。
この状態で住宅ローンを申し込んでも、ほぼ間違いなく断られてしまいます。
もし自分に心当たりが無いのに住宅ローンの審査に落ちた場合は、信用情報機関に自分の情報が残っていないのか確認し、訂正を求めなければなりません。
この方法は次の項目で説明していきます。
4.信用情報機関の情報を確認・訂正する方法
信用情報機関に自分の情報を開示してもらうには「開示手続」等と呼ばれる手続が必要です。所定の手数料を支払うとともに、必要な書類を各機関に提出しなければなりません。
郵送で開示を申し込む方法とパソコンやスマートフォンから申し込む方法、そして窓口で申し込む方法があります。
ただし、全国銀行個人信用情報センターは郵送にしか対応していないので、CICやJICCと比べると時間と手間がかかります。
詳しい方法は機関によって違うので、以下のホームページを参照してください。
CIC:公式ページ
JICC:公式ページ
全国銀行個人信用情報センター:公式ページ
もし自己破産から10年経過しているにも関わらず自分の情報が掲載されている場合は、信用情報機関に訂正を求めなければなりません。
この場合は「本人申告」というものをする必要があります。
本人申告では様々なことができ、例えば運転免許証が盗難にあって悪用されそうなときや、自分の無駄遣いを無くしたいとき等にも利用できます。
信用情報に自己破産の事実が掲載されたままなので補正を求めたい場合にも活用できるので、詳しいことは以下のホームページを参照するか、お問い合わせ窓口まで電話して聞いてみることをおすすめします。
CIC:本人申告とは
お問い合わせ電話番号:0570-666-414
JICC:お問い合わせ
お問い合わせ電話番号:0570-055-955
全国銀行個人信用情報センター:本人申告の手続き
お問い合わせ電話番号:0120-540-558
5.自己破産前に弁護士と相談しておけば安心!
弁護士に相談すれば、自己破産をする前に自己破産後のリスクについて教えてくれるので、いざというときに慌てないで済みます。
自分一人ではわからないことでも、弁護士に相談するだけで解決できるのです。
また、信用情報機関への開示請求や本人申告方法についても、手続き自体はご本人が行う必要がありますが、申請段階において分からないことがあったら教えてくれるでしょう
困ったことを適切に処理し、解決してくれるのが弁護士です。自己破産のように大きな決断をするときには、事前に弁護士と相談することをお勧めします。
-
2019年10月4日債務整理 埼玉県熊谷市における自己破産でかかる弁護士費用
-
2019年5月8日債務整理 債務整理をするために〜弁護士の選び方〜
-
2019年5月16日債務整理 個人再生に踏み出せない方へ|メリット・デメリットは何か?